斜面災害から
地域を守るため

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About us沖縄斜面調査研究会とは

道路、橋、建物等の各種社会インフラの建築・設計・維持は、地域の地盤の性質に併せて行われます。
沖縄県の中南部に分布する島尻層群は固結が低く脆弱性を有する地質で、同地の斜面・法面では崩れ等のリスクを踏まえ、法面対策工が行われることも多いです。
本研究会では地質特性を踏まえた,対策工の維持管理の最適化,勉強会による技術者の知識向上を目的とした活動を行っています。

島尻層群泥岩について

地層について​

島尻層群は新第三紀鮮新世(約500~260万年前)~第四紀(約260~16万年前)にかけ形成した粘土、シルト、砂等を元にした堆積岩(泥(・シルト)岩、砂岩)である。形成年代の若い地質であり、固結の程度も比較的低い部類に入る。斜面・法面の安定に関係する特徴として、切土時には応力開放等による強度低下の発生、吸水・乾燥によるスレーキングのし易さ、断層に伴う弱面(強度が低い面)の内在等が挙げられる。

▲沖縄本島の標高分布図に(小西,1965年)の沖縄本島帯状構造を追記

▲表- 沖縄島南部の地層序

▲「土質材料としての泥質堆積岩の力学特性に関する研究:新城俊也,S55」より引用

地すべりについて​

 島尻層群地すべりは、琉球大学農学部中村先生らにより、以下のような類型区分が行われている。平成18年に発生した安里地すべりは準初生型の地すべりとされている。

▲島尻層群泥岩分布地域における地すべり類型区分の模式断面図 「沖縄,島尻層群泥岩分布地域の地すべり類型区分の試み:陳ら,2007」より引用

※スマホ・タブレットの方は横にスクロールいただけます。

地すべり類型 移動体の岩(土)質 発生斜面の状況 活動形態 誘因 素因 主な地すべり面動員強度 主な事例
初生泥岩地すべり 泥岩(地すべり後は岩屑化) 地すべり地形が不明瞭な泥岩斜面 ・一般に斜面頂部に達する大きなユニットで滑動
・急速かつ大きな移動量
・一回の活動で主要な滑動は終息する
・豪雨
・地形改変が泥岩の強度低下を促進することがある
泥岩中の断層等の地質弱面 ピーク強度及び残留強度 仲順地すべり、新川地すべり
準初生泥岩地すべり 泥岩(地すべり後は岩屑化) 既往地すべりを伴いう泥岩斜面 ・一般に斜面頂部に達する大きなユニットで滑動し、急速かつ大きな移動量
・一回の活動で主要な滑動は終息する
・豪雨
・既往地すべりが長時間かけて泥岩の強度低下を促進
泥岩中の断層等の地質弱面 ピーク強度及び残留強度 安里地すべり、伊原地すべり
再活動型崩積土地すべり(Ⅰ) 泥岩起源の粘性土 地すべり地形が明瞭な崩積土斜面 ・いくつかのユニットに分かれ滑動し、規模は順初生泥岩地すべりに比べ小さくなる
・一般に緩速かつ小さい移動量
・断続的に滑動する
・豪雨
・小規模な地形改変や崩壊でも誘因となる。
・既往地すべりが長時間かけて泥岩の強度低下を促進
軟弱な粘性土と凹地状集水地形 完全軟化強度及び残留強度 真和志高校地すべり
再活動型崩積土地すべり(Ⅱ) 石灰岩礫を含む粘性土 琉球石灰岩を帽岩とする崩積土斜面 ・いくつかのユニットに分かれ滑動し、規模は順初生泥岩地すべりに比べ小さくなる
・一般に緩速かつ小さい移動量
・断続的に滑動する。
・豪雨
・小規模な地形改変や崩壊でも誘因となる。
軟弱な粘性土と凹地状集水地形 完全軟化強度及び残留強度 平安名地すべり
富盛地すべり

▲島尻層群泥岩分布地域の地すべりの類型の特徴

斜面、切土法面について​

島尻層群の分布地の全てではないが、上記に示した脆弱化し易い特性を有する箇所では不安定化を起こす事がある。

対策工について​

不安定化の可能性がある、あるいは崩れが発生してしまった、道路等に隣接する斜面・法面では隣接するインフラの機能の維持・復旧のための対策を行う必要がある。法面を剛的に押さえる対策工としては以下等がある。以下に示す対策工の設計に用いる”周面摩擦抵抗”という地盤定数は島尻層群泥岩では問題となることがある。

▲沖縄本島の標高分布図に(小西,1965年)の沖縄本島帯状構造を追記

▲鉄筋挿入工の例

▲切土補強材の効果発現例